めっき皮膜の機能を向上させるための処理として熱処理という工程を入れる
場合があります。
代表的なものには無電解ニッケルめっき(Ni-P合金めっき)や硬質クロムめ
っき後に行うものがありますが、具体的にはどのような変化が起こっている
のでしょうか。
無電解ニッケルの場合…めっき析出時はNiとPの合金が結晶構造を持たない
「非晶質合金」と呼ばれる状態で存在し、硬度もHv500前後なのですが、ある
一定の条件(約400℃で1時間程度)で熱処理を加えることで、NiとPが結晶構
造を持つような状態となります。もともとそれぞれの金属がバラバラの状態
で存在していた時と比べ、硬度もHv800~1000と飛躍的に上昇し、硬い皮膜
へと変化します。(析出硬化と呼ばれる現象です)
硬質クロムの場合…硬質クロムめっきは電解析出時の電流効率が電気メッキ
の中でも特に悪く、電流の大半が陰極の水素や陽極の酸素の発生に消費され
てしまいます。そのためクロム皮膜中に水素を吸蔵しやすく、皮膜を硬くする
反面、素材を脆くする原因ともなります。
なので、この水素を抜くため約200℃以下の温度で1時間~熱処理を行います
と、脆さを解消し、耐摩耗性を向上させることが出来ます。
ただし、注意すべきは熱処理も加えるほど良いという訳ではなく、ある一定
の温度以上(300℃~)与え続けると逆に硬度を低下させてしまうという側
面があります。










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硬質クロムの硬度の理由
クロムめっきは各種電気めっきの中でも特に硬いことで知られていますが、
それには理由があります。
前回ご紹介させて頂いた通り、クロムめっきは電流効率がとても悪く、
通常他の電気めっきが30~90%近く電着に使用されるのに対し、クロム
めっきには約15%程度しか使用されません。
その他は酸素や水素の発生や熱エネルギーへと変換されてしまいます。
しかしこの電流効率の悪さが硬い皮膜をつくる原因であり、陰極(めっき
加工する品物を吊るす側)に大量に発生した水素を皮膜に取り込むことで、
皮膜のクロム金属を通常のクロム塊の数倍の硬度にすることが可能なのです。
また、大きな負荷をかけて皮膜を生成するため強い内部応力が掛かり、
それもまた硬い皮膜を作る要因となっています。